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PCB 温度計算ツール - ヘルプ

ご注意

PCB 温度計算ツールは、熱的な影響がプリント基板(PCB)のデバイス・パフォーマンスに与える影響を最初に確認するための推定ツールです。この計算ツールは推定となります。システムが複雑な場合や温度に敏感な場合は、より詳細な分析を検討してください。すべての用途において、最終のシステムで実際にデバイスの温度を測定して確認を行う必要があります。

TI デバイスの動作、パフォーマンス、および信頼性は、デバイスのデータシートに記載された最大動作温度条件に基づきます。

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ヘルプ・セクション


パッケージ

この計算ツールは、サーマル・パッドを持つパッケージを使用したコンポーネントの、ジャンクション温度を推定するように特別に設計されています。露出パッドとはデバイスのサーマル・パッドまたはサーマル・タブのことで、デバイスから PCB へ直接熱を伝えます。

このようなパッケージの例をいくつか示します。

PCB 温度計算ツール - パッケージのタイプ

この計算ツールは、次の 2 つの理由からサーマル・パッド・パッケージ用に設計されています。

  1. サーマル・パッド・パッケージは、PCB から主に放熱するデバイスに対して一般的に使用されています。
  2. サーマル・パッド・パッケージは熱伝導の経路が単純であるため、モデリングと測定データの相関によって単純で正確な計算を容易に行うことができます。

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方法

次の式によってシステムの熱抵抗合計を計算します。

Tj = Ta + (theta-JC,bottom + theta-CA) * Power Dissipated

ここで、

  • Tj = デバイスのジャンクション温度推定値
  • Ta = PCB の周囲温度
  • Theta-JC,bottom = ジャンクションからデバイス底部までの熱抵抗
  • Theta-CA = デバイス底部から PCB 周囲の空気までの熱抵抗
  • Power Dissipated = デバイスの消費電力

PCB 温度計算ツール - θCA と θJC bottom

温度計算ツールで使用されるデータは、研究室での測定データに、数千のポイント・データを用いた綿密な温度モデリング分析を組み合わせて生成されています。相関結果は、温度計算ツールに表示される曲線とデータ・ポイントの作成に使用されます。

温度計算ツールは、ボード温度の入力値も基準点として使用されます。この場合、ジャンクション温度の結果は、psi-JB 温度パラメータに基づいた単純な計算から推定されます。

計算ツールの主な前提条件:

  • 周辺温度は、PCB の露出したパターン冷却領域周囲の空気温度です。この周辺温度は、外部周辺温度や、システムの他の場所で測定された周辺温度と必ずしも同じではありません。
  • パターン領域の面積は、そのデバイス専用に指定されます。他にも熱を持ったデバイスが同一パターン上にある場合、計算ツールの結果セクションで使用されるパターンの面積は、デバイスの消費電力比に基づいて減少します。
  • 温度計算ツールには自然対流が使用されています。自然対流では、通常、空気の流れを作り出すために PCB の上部と下部に 6mm の空間が必要です。密閉性が高い場合は、対流の効果が失われることを考慮する必要があります。
  • サーマル・パッド・パッケージでは、多くの場合、PCB が熱抵抗の主な要因となります。PCB の熱抵抗は、デバイスの熱抵抗よりも大幅に大きくなることが多々あります。

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計算の入力

各フィールドについて簡単に説明します。

デバイスを入力/選択

温度計算ツールで使用するデバイスを選択できます。オートコンプリート機能とドロップダウン機能によって、デバイス名を入力するか、使用可能デバイス・リストをスクロールできます。デバイスが [デバイスを選択] フィールドにない場合、現時点でそのデバイスのサーマル・パッド・パッケージを使用できないか、またはデバイスが計算ツールにまだ組み込まれていません。追加予定のデバイス・リストを参照するには、www.ti.com/e2e-pcbthermalcalc(英語)のフォーラムに質問を投稿してください。

Theta-JC (bottom)

このフィールドには選択したデバイスの θJC(Bottom) 値が表示されます。この値は計算に使用されます。

デバイス消費電力

デバイスの消費電力を入力できます。消費電力値は、実際のアプリケーションでの使用状態に基づいて計算する事が出来ます。この値は、デバイスのデータシートや、該当するアプリケーション・ノートから推定できることもあります。

注: 消費電力は、入力電力および出力電力とは等しくありません。消費電力はデバイス内で失われた電力、または消費された電力です。

システム基準温度

PCB 温度計算ツールは、システム基準温度からの上昇温度を推定します。このフィールドでは、計算ツールで使用する基準温度を選択できます。周辺温度は一般的なパラメータであり、PCB パターン領域に基づいた出力曲線を導き出します。ボード温度は、より精度の高いパラメータであり、ジャンクシャン温度の出力値を 1 つ導き出します。

計算ボタン

このボタンは、フィールドへの入力が完了すると有効になります。

印刷ボタン

計算結果を印刷できます。

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結果セクション

基準の周辺温度を指定すると、結果セクションに曲線が表示されます。曲線の主な機能は次のとおりです。

  • x 軸は、そのデバイスに使用されるパターンの合計面積(mm2)です。
  • y 軸は、各種曲線の温度(℃)です。
  • 表示される曲線は 4 つあります。結果を見る一つの方法は、曲線の上にマウスを移動し、パターン面積と温度の値を確認します。
    • 放熱特性が低い PCB のジャンクション温度
    • 放熱特性が強化された PCB のジャンクション温度
    • 放熱特性が低い PCB のボード温度
    • 放熱特性が強化された PCB のボード温度
  • ジャンクション温度は、デバイス内での最高温度となりますので、この温度はデータシートに指定された動作条件を超えてはなりません。
  • ボード温度は、デバイス近傍のボードの温度です。ボード温度は、PCB の温度上昇を確認するための基準点として使用できます。有効な測定ポイントでもあります。
  • 「放熱特性が低い PCB」は、1/2Oz(18μm) 厚の片面パターン PCB を意味します。
  • 「放熱特性が強化された PCB」は、1Oz (35μm) 厚の片面パターン PCB を意味します。PCB でこれよりも厚いパターン、または追加のパターンを使用している場合は、データ・ポイントはやや改善しますが、大幅に改善することはあまりありません。
  • グラフの下に表示されるデータには、mm2 単位および in2 単位のパターン面積が含まれます。4 つのデータ・ポイントはスライダの位置に基づいています。スライダを希望するパターン領域に移動するには、スライダをクリックし、スライダを左または右に移動します。

基準のボード温度を指定すると、結果セクションには結果が 2 つ表示され、曲線は表示されません。表示される結果は、放熱特性が低い PCB と放熱特性が強化された PCB のジャンクション温度です。